柔の道は一日にしてならずぢゃ!妄想柔道少女とオリンピック

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もう何十回と読んだか分からない漫画『YAWARA!』。浦沢直樹さんの不朽の名作です。

ご都合主義だとか作者が乗り気じゃなかったとか色々言われてるけど、やっぱりわしはこの漫画が大好き。

小学生の頃は当時500円と高かったビックスピリッツコミックスをお小遣いためて買い集めて、結婚してからはすぐに文庫版を揃えた。ほんと大人になって良かったと思った瞬間(笑)

そしてオリンピックシーズンになると必ず読み返してしまう本でもあるのです。

『YAWARA!』と柔道とオリンピック、果てしない妄想少女だったわしの三種の神器みたいなもんでした。

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何度読み返しても本当に面白いんだよなぁ、『YAWARA!』

『YAWARA!』という漫画は、柔道の天才少女猪熊柔という女の子がオリンピックを目指す物語。だけど普通のスポ根と違うのは、柔は最初柔道が嫌いで普通の女の子になりたかった、というところ。

柔道嫌いになった原因は、柔が5歳のときに父親を投げ飛ばしてしまったから。それから父親は(柔の才能に感動して)武者修行の旅に出てしまったのです。

でまぁ色々すったもんだあって、けっきょくソウルとバルセロナ五輪で金メダルを獲得して物語は終わります。

これがまぁ面白い!!いま読んでも抜群に面白い!!

まず柔が普通の女の子なんですよね。ほどほどにミーハーだし(なんせ三葉女子短大)先輩にファンレター書いたり風祭にポ~っとなったり、金メダリストなのに就活したり。顔もすごくかわいいし。

それなのに柔道は天才的に強い。このギャップがたまらない。松田さんの言う、本気で強い相手と戦っているときの目がたまらない。

そして魅力的なライバルたち。カナダのジュディ、ロシアのテレシコワ、フルシチョワ、そしてさやかお嬢様。ただの敵役としてではなく、それぞれ本当に人間味に溢れていてキュートに描かれていました。

外国の選手でわしは特にテレシコワが好き。ソ連が解体されて、バルセロナ五輪に出られるか分からない状況の中で柔を訪ねてきたテレシコワ。おしるこを食べるテレシコワ。

ソ連という大きな国の機械の一部としてではなく、自分の柔道を目指したテレシコワ、本当にかっこいい。

そしてジゴロー先生に「(3位決定戦)勝ったらあんみつ食べさせてやる」と言われてあんみつにときめくテレシコワ、かわいい。

さやかお嬢様も好き。柔より好き(笑)。

かっこつけのさやかさんが泥臭く寝技で柔に迫ったあの試合。さやかさんは天才というよりも努力の人なんだと分かる。誰よりも努力する人、そして誰よりもしつこく柔を追いかけてく人。

高慢ちきでわがままで金に物言わせてなんでもやりたい放題。なのにどこか間抜けで憎めないかわいい人さやかさん。

ただのお嬢様が、一人の柔道家になる物語でもあるのです。

そして忘れてならないのが富士子さん。柔の親友で、短大から柔道を始めて銅メダルを獲得するという、ある意味柔より才能のある人、しかもママさん選手で。

富士子さんはやっぱりバルセロナの一戦が忘れられない。

地元スペイン代表の「フランコ」という選手と銅メダルを争った富士子さん。当然観衆はフランコを応援するわけですよ、完全アウェーです。

富士子さんが技をかけようものなら大ブーイング。会場はもう「フランコ」コール一色。

そんな逆境の中でも富士子さんは腐らずに一本を目指す柔道で果敢に攻め込みます。

すると、だんだんとその富士子さんの戦い方が届いたのか、フランココールだけでなく「フジココール」も聞こえてくるようになるのです…!!

そして富士子さんは大内刈り(白鳥の湖)で見事一本勝ち、銅メダリストとなりました。

今までどんなことをしても一番になれなかった富士子さんでしたが、とうとう世界3位に上り詰めることができたのです。

どんなにアウェーでも、気持ちを込めて素晴らしいパフォーマンスを見せたら観客はついてくるんです。だから体操男子もがんばれ。

うん、やっぱり『YAWARA!』は面白い、本当にそう思う。

『YAWARA!』を読んで、弟に技をかけていたあの日々

こうやって夢中になって読んでいくと、おのずと「柔道やってみたい!!」になる単純なわし。

その中でも富士子さんの必殺技、「大内刈り」ならできるんじゃねーか?と思うんですね。背負い投げや内股はかなりハードルが高そうだった。

で、見ようみまねで弟相手に技を繰り出すんですよ。奥襟をつかまねば!!とか言って。弟にしてみたら良い迷惑ですよね、分けも分からずに実験台にされて…(泣)

もちろん上手くいくはずないんです。二人で社交ダンスを踊っているようなもんでした。

でも、たった一回だけなにかのはずみで大内刈りが決まったことがあったんです。スパッと足が切れて、弟がまっすぐに背中から倒れたんです。

あの時の高揚感。なんていったらいいんだろう…とにかく一本ってこういうことか!!と妙に納得したのを覚えています。

技をかけられた方もたまったもんじゃないですからね、その日を境に柔道ごっこは2度とさせてもらえませんでした。が、わしの中に一本の高揚感はずっと残ったままでした。

あの時柔道を始めていたら…と妄想して楽しむ夢の舞台オリンピック

そんな柔道ごっこをするくらい『YAWARA!』に夢中だった小学生のわしに、両親は「道場に通ってみたら?」と言うんですね。

実家の近く、ほんと家から見えるくらいの距離に柔道教室があって、もれなく接骨院もあったのですが、そこへ行ったらどうかと親はなかば本気で勧めてきました。

でも、わしは行きませんでした。なんか怖じ気づいちゃったんです。

あんなこと自分が?本当に?やる…の?って、夢物語が実現しそうになると怖くなる小心者だったんです。

中学の入学のときも、実は吹奏楽部が柔道部かで悩みました。柔道場の入り口まで行きましたが、やっぱり入ることは出来ませんでした。

でも、ずっと柔道始めてたらどうだっただろう?って気持ちはついてくるんですよ。そして、それはどんどん都合のいい妄想に膨らんでいくんです。

まず全中で優勝、次に柔道の強豪校に入って優勝、世界大会の代表になってオリンピックで金メダル…というね、ここ笑うところですからね。そんな妄想をしているんです。

でもけっきょく家から近い柔道の強豪校って実際に行った高校と同じだったわ…いまは見る影もないらしいけど。

面白いことに、旦那さんも同じようなこと言ってたような。旦那さんは『ガンバ!flyHIGH』という森末慎二さん監修の体操漫画でしたが。(こちらも名作!!)

そんな爆裂妄想少女が大人になって、オリンピックになるとこう思うんです。

「わしが柔道やってたら、アテネと北京の代表だったのになぁ」

思ってるだけですからね、分かってます分かってますよ、谷亮子選手が出場したことは知ってますよ!!

でも、三十路になってからもそんなことを想像してはオリンピックを楽しんでいるんです。

谷さんはバルセロナ、アトランタ、シドニーって出たから、もうそのへんでわしが圧倒的に勝ちまくって柔道のお偉いさんのぐうの音が出ないほどのぶっちぎりで代表になって、そんでどっかの国(ここが曖昧)のライバルと2大会とも決勝で戦って、アテネではわしが勝つけど北京では相手が勝つ、これでどやろ、おもろいわ~。

分かってる、十分アホだと言うことはわしが分かってる。

そんくらい、オリンピックという舞台が好き。オリンピックに出場出来るすべての選手を尊敬しています。

賄賂とかロビー活動とか利権の巣窟となってしまったオリンピック。金と欲にまみれたオリンピック。

正直東京に決まったときもまったく嬉しくなくて、アホなことすな!!と思ってたオリンピック。な~にが「トキョ」じゃぼけっ!と思う。

でも、選手は別。そこを目指して、わしみたいにあるはずのないことを想像して、がんばっている選手は素晴らしい。わしは運動音痴なもんで、とにかくスポーツが出来る人ってもうそれだけで本当に尊敬するんです。

本当にむちゃくちゃすごい圧倒的な人っているじゃないですか。

例えば吉田沙保里選手とか、ちょっと前の競泳のフェルプス選手とか、ボルトとかアテネのときの体操とか。あんなん考えられない、同じ人間とは思えない。

これはもう夢ですよ夢。その場を目指す全ての人の夢の舞台オリンピック。

オリンピックは夢を見させてくれる舞台じゃないといかんのですよ。そう言う意味で、わしはオリンピックが好きなんです。

だからこそオリンピックを食い物にしようとする輩は退場願いたいですわ。

海老沼選手の背負い投げ。柔道家がそこにいた

話を柔道に戻しましょう。

66キロ級の海老沼匡選手、銅メダルをかけた3位決定戦の背負い投げ。これはスポーツ選手としての背負い投げではなく、柔道家としての意地を見たような気がします。

柔のじいちゃんの猪熊慈悟郎先生は、「一本」にこだわった柔道を柔や富士子さんにたたき込んでいました。

ポイントや判定なんぞ勝ちではない、一本勝ちしてこそ柔道ぢゃ!!といつもなんか物食べながら言っていましたが、その慈悟郎先生にいまの柔道はどのように映っているのでしょうか。

慈悟郎先生が言う柔道と、世界のJUDOとは、かなり隔たりがあるように思います。

組み合うことを嫌う外国人選手に、攻めあぐねて指導を取って優勢勝ち…。これはこれで貴重な一勝に違いないのですが、慈悟郎先生に洗脳されたわしはなんとも消化不良。

きっといまのJUDOに置いてかれているんだな…と寂しく感じていたのですが、海老沼選手の柔道は、まさに一本を目指す柔道をしていました。

決勝に出場できなくて残念でしたが、あの背負い投げ。スピード、キレ、そしてテコの原理を使った最高のタイミング。

柔道なんて漫画でしか知らないド素人のわしが見ても、嬉しくなるような会心の一本背負いでした。

あの背負い投げを見られて、今回のオリンピックはもうわし的には大満足です。嬉しいです。

海老沼選手のことはほとんど何も知りませんが、この人は柔道家だなぁ、と感じます。

これからも、ぜひとも柔の道を突き進んで行ってもらいたいです。

そしてやっぱり、「相手がどんなにこらえようともぶん投げるのが必殺技」と言っていた慈悟郎先生は改めて偉大だと感じたしだいです。

何はともあれ海老沼選手、銅メダルおめでとうございます。あなたの一本背負いは金メダル以上の価値があったとわしは太鼓判を押します!!

そしてオリンピックの時期になると「もうどうでもいいわ」とか口では言いながら気もそぞろになって夜更かしをしまくり家事をしなくなり、勝手な妄想に耽っているおばさんがわしだ。どうだい。

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コメント

  1. よすえ より:

    柔道、金メダルも取りましたね。
    一本取る柔道が復活しつつある?
    YAWARA!はアニメで見ていたけど、テレシコワがあんみつ好きなんて知りませんでしたよ。
    これはコミックを読まないといけないですねえ。

    • amamura より:

      よすえ様、コメントありがとうございます!

      テレシコワはソ連崩壊時、日本企業からコーチへのオファーがあり、現役引退を考えていました。
      その時柔に会いに来て、柔と慈悟郎先生と一緒におしるこを食べるシーンがあるんです!
      けっきょくテレシコワはオリンピックに出るために国に戻るのですが、その後はもしかしたら日本でコーチになるのかな?という終わり方でした。
      ぜひコミックスで読破することをおすすめします!!

      日本柔道、素晴らしい活躍ですね!一本を取って金メダルを取る、というはっきりとした意志、ビジョンがこちらにも伝わってくるようで、本当に選手の皆さんには心技体鍛錬されて頭が下がる思いです。
      きっと、慈悟郎先生役の永井一郎さんもお喜びだと思っています(^_^)

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